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「ねえ、あゆみちゃん」 「なに?」 「もし……もしさ。明人が私以外の誰かと恋人になったら、私と明人はもう今までみたいな仲良しではいられなくなっちゃうのかな……?」 「うーん……」  今度はあゆみちゃんが考える。 「……そうだな。……そうかもな。だって、みきちゃんと北村くんの仲の良さっていったらさ、付き合ってる疑惑が出るくらいだよ? さすがに恋人がいたらそれはまずいんじゃないかなぁ……」 「そっか……やっぱりそうだよね……」  私はショックを感じた。 「どうしたんだよ。そんな暗い顔して…………あっ、木暮ちゃんのお誘いってまさかそういう!」 「私、嫌だな。…………明人と今までみたいに仲良くできなくなるの、嫌だな」 「じゃあ行ってこいよ!」 「……え?」 「屋上、今なら途中で止められるかもしれないだろ?」 「でも…………」 「あーもう! こんな時にごたごた考えてる時間なんてないっての! さあとっとと行った行った!」  ドンっとあゆみちゃんに背中を押される。 「あっ……あゆみちゃん! ありがとう!」  私はよろけそうになりながらそう言って背中を押された勢いのまま屋上に向かって廊下を走り出した。こんな時に廊下を走ってはいけないなんてルールを律儀に守ってはいられない。背にした教室の中から「おう! 応援してるからなー!」と聞こえた。  私は走る。嫌だ、明人を他の人にとられるなんて絶対に嫌だ。人生で初めて独占欲を自覚した。この恋はもう止まれない。
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