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恥ずかしながら、ソーシャルネットワークなんて希薄なやり取りに意味がないと考えていた時期が嘘のようでもあった。
たぶん、一生会うことは無いという安心感は互いの本音を曝け出し、それが秘密を共有する子供のような一体感を生み出しているのだろう。
彼女との連絡が一月も続いたころだろうか?
僕の中で一つの感情が芽生えた。
恋である。それも初恋。
もちろん。これまで異性を見てかわいいや美しいと感じたことは何度もあったが、愛おしいと感じたのは彼女が初めてだった。
相手に与える印象を考えて試行錯誤を繰り返しながら書き込みをし、Yからの返信に一喜一憂して何度もリフレインする。
まるで少女漫画の主人公の様だが、自分でわかっていてもそうせずにはいられなかった。
傍から見れば、見たこともない相手に恋をするなんて変だと思うかもしれないが、見たことが無いからこそ容姿に左右されず、本当の意味で人を見ることができるのではないか?
僕はそこに真実の愛を感じ、Yもまたそう感じていると信じていた。
そう。信じていたのだが・・・。
どうやらそれは僕の独りよがりだったらしい。
ある日、Yは突然、告白を始めた。
自分が重い病気を患っていること。
治療費に高額の費用が掛かると。
そして、家が貧乏なこと。
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