第一章 青

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「うん。古川くんはどうしてここに?」 「平達と喋ってたんだけど、急に頭痛くなって」 多分寝不足、と続けながらあくびをこぼす。 「そうなんだ。先生どこ行ったか知らない?」 「さっき職員室行った。もうそろそろ昼休み終わるから、戻りたければ戻っていいしまだ具合悪いようだったらいていいって。俺は戻る」 「ふうん」 じゃあ私も戻ろうと、先生用の机の上にある保健室利用カードに自分の名前と教室に戻る旨を記入する。 「坂田さんも戻るんだ」 扉から半歩分廊下に踏み出した古川くんが、顔だけ振り返ってなぜか意外そうに言った。 「うん。なんで?」 改めて見てもアイスブルーと呼ぶに相応しい、見事な色の目を見返す。 「随分うなされてたけど。戻って大丈夫なの?」 ペンを机に置こうとした手が止まった。
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