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4話 正しさ
片足の痛みなどはもうどうでもよくなっていた。
結局自身はどう足掻こうと、救うべき存在を救い出せなかった。
きっと自身がまだ弱いからだ。
これじゃダメだ。
でも、今は何事もする気力が無い。
私は今朝からベッドに寝そべり、非現実的な現実を逃避をする様に、スマートフォンの液晶を暗い部屋の中食い入るように眺めていた。
数日前に戻ってしまったようだ。
情けなくて仕方がない。
その事実を忘れる為、更にスマートフォンの先に広がるネット世界へのめり込んでいく。
「電気を付けずにカーテンまで閉め、暗い部屋の中、顔を近ずけスマートフォンをするのは目に良くないぞ。」
昨日の出来事で落ち込む私を気遣って、今まで姿を隠して静かにしていたジャスティティアがしびれを切らした。
仰向けに寝転ぶ私のお腹に、ソファーにでも座るかのよう腰を下ろして、足をブラブラし始めた。
こいつの全体重が自身の体にかかっているが、思ったよりも軽かった。
気を使い軽くしているのか、それとも本当に軽いのか、そんな事を考えているとジャスティティアは続けて話し出す。
「人間、いやbecomerですら数日でなりたい理想の存在にはなれない。
そして君は正義の味方を初めてまだ数日。
正義の味方は難しい事なのだから上手くいかないことも仕方ない。
逆にこの数日で、ワタシの想像以上に君は成長している。」
確かにそうである。
幼少期から望み続けた正義の味方になると言う夢。
だがその願いはどれほど時間をかけ頑張っても叶わなかった。
だがその望みがこの数日で、急に展開しだしたのだから喜んだのでいいのかもしれない。
いや、喜んでいいはずがない。
結局思考は一周し、becomerを何者からか救えなかった事に後悔する。
そして遊園地襲撃事件に関わっているであろうその者を、捕えれなかった事にもだ。
そう言えばジャスティティアは正体不明の何者かの存在を、知っているような素振りをしていた。
その事を思い出し、問い詰めようかとした途端、ジャスティティアは何かを思いつき、私のお腹から飛び跳ね話し出す。
「気分転換に外へ行こう。」
こいつは目の前でbecomerが殺されたのに、何とも切り替えの早い事だ。
私もそれ程精神面が強ければ、もう少しは強くなれるのだろうか。
しようとした質問を、はぐらかされた気もするが今はジャスティティアの案に乗ることにした。
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