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アキラのアパートに行くと、リョウちゃんの姿はなく、部屋のドアが開いていた。ドアから廊下に向けてアキラの脚が覗いていた。
部屋の前に立って、私は立ち尽くした。――
倒れた血だらけのアキラ。
赤い血。
ピンヒール。
その光景を見た途端、私の身体の奥底に封じ込めていたものが蘇り、記憶の鍵がこじ開けられるのを感じた。
思い出した。
私は全てを理解した。
何故、背の高いアキラと歩くと恐怖を感じたのか。
アキラに触れられて身動きできなかったのか。
どうして、娼婦のようにアキラとの行為に耽ったのか。
今まで疑問だったことの辻褄が全てあった。
眼裏に浮かび上がった光景と目の前の光景を私は照らし合わせた。
赤い血。
真っ赤なピンヒール。
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