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ここは封印域ゴルモレイ…その最深部で魔族の将、ラグシェルムは溜息をつく。
『ラグシェルム様?どうしたんです?』
そう尋ねるのは側近のグラードだ。
『ふふ…ラグシェルム様らしくないんじゃない?』
と言いながら一歩歩みよる女魔族はニーアだ。
『いや、なんでもない』
そういって立ち去るラグシェルムとそれを見守るグラードとニーア。
なんでもないわけがなかった。
ここ最近疲れが酷いのだ。連日の魔族への指示や他種族との戦いに明け暮れる日々…。
そしてなにより……鎧が重いのである!!
肩は凝るし、風呂にも入れない、形状からして食事すら取れないありさまだ。疲れは溜まる一方である。
この悩みを他の信頼できる魔族に相談することもできる。だがあえて相談しなかったのはラグシェルム自身のプライドがあったからだろう。ラグシェルムは深い溜息をつく。
…
……
『あら、あなたもたまにはゆっくり休んだら?』
『俺には休みなんざいらね~。俺は強ぇ~やつと戦えれば十分なんだよ!』
…
……
二人の側近の会話が脳裏に浮かぶ…。
『…休息、か。』
そう呟いたラグシェルムはそっと鎧を脱ぐ……。
こうしてラグシェルムの波乱万丈の休日が幕をあけるのであった…
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