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肩口で切りそろえた髪を耳にかける佐々木の視線が、俺をとらえる。
文句を言う木村の代わりに、彼女は眉を下げて「ごめん」と声に出さずに口を動かした。
今も諦めていないのは、俺と東条だけらしい。
その東条も長時間の捜索に、うんざりしかけている。
俺よりも頭一個分背の高い彼は、背中を曲げて今にもその場に座り込みそうだ。
「本当にここであってるのか? さっきからどれだけ掘ってると思ってるんだよ」
かすかに息を切らした東条に責めるような視線を向けられる。
なぜ先ほどから、俺だけに訊くのだ。
全員で埋めたというのに、どこか俺以外の連中は消極的だ。
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