タイムカプセル

5/47
前へ
/87ページ
次へ
「あってるよ。ここに埋めたのはしっかりと覚えてる。文句ばかり言ってないで、手を動かせよ」   うだる暑さに苛立ちが増していく。   タイムカプセルを掘りに行こうと連絡を入れたのは俺だが、今日のことは小学生のころから決めていた。 あの約束を覚えていたのは俺だけじゃなかったはずだ。   彼らに対する不満を募らせていると、東条の腕が首に絡んできた。 「さっきは中学生に間違われてたくせに、生意気だぞ」 「それは関係ないだろ……」   からかい交じりに頭を叩かれ、小学生時代の面影を彼に重ねる。   昔から背の低かった俺は、こうして彼によくおもちゃにされていた。 別に虐められていたというわけではなく、いわゆる【いじられキャラ】だったのだ。 昔は今以上に小柄で気も弱く、いじめられなかったことが奇跡だったと自分でも思うほどだった。
/87ページ

最初のコメントを投稿しよう!

10人が本棚に入れています
本棚に追加