不完全な俺たち

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小学校からほど近い坂を登った先の住宅街を、記憶を頼りに黙々と歩いた。 すでに橙色に染まり始めた空の下で、桐山も俺も言葉は交わさなかった。 急いで探さなければ今日中には見つからない。 少しは距離を縮められたとは思うが、正直彼女と二日も一緒にはいたくない。 きっと桐山も同じようなことを思っているだろう。 背後にいる彼女に目をやり、俺は一軒の古風な日本家屋の前で立ち止まった。 「本当に、この家だな?」 桐山が俺の隣に並び、確認を取るように聞いてきた。 「うっすらしか覚えてないけど、たぶん」 九年前にたった一度しか訪れていないのだ。 あいまいな返事しかできない。
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