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周囲の土を取り除いていくと、出てきたのは三十センチ四方くらいの銀色をした缶箱だ。
たしか東条の家にあった煎餅の空き箱をタイムカプセルに利用していたのだった。
どうやら、ようやく俺たちの思い出が見つかったらしい。
いち早くタイムカプセルを手に取り、蓋についた土を払った。
深く息を吐いて箱を開けるが、中身を確認する暇もなく東条にそれを奪われてしまう。
「懐かしい。こんなもの埋めてたんだっけ。あ、これ俺のやつ」
「勝手に開けるなよ」
東条から箱を奪い返し、箱に手を突っ込む。
「ちょっと、自分だけずるい」
木村の文句を聞き流し、中身を漁る。
手紙や当時大切にしていた東条のカードゲーム、木村の香りつき消しゴム、佐々木のヘアピンや子供用のネックレス。
詰まっているのは、当時の宝物たちだ。
他に何かは言っていないか、手紙をかき分け目当ての品を探す。
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