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探し物はどこですか?
どれだけの時間、彼女を探し回っていただろう。
校舎を歩き回っている俺は、はたから見たら不審者に見えたかもしれない。
よく考えたら、桐山はもう帰っている可能性が高い。
だとしても、彼女の連絡を知らないのだからこうして校舎を探すしかないのだ。
裏庭にも校庭にもいなかった。
六年生の時の教室を確認し、思い当たる場所は残る一つ。
失恋したという痛い思い出は俺の中ではなかなかのトラウマで、自然と足が遠のいていた場所だ。
「桐山」
図書室の窓際、開いた窓から吹き込んだ風がカーテンを揺らす。
窓辺で佇む彼女は、俺の呼びかけに気付き振り向いた。
西日で陰った彼女の顔が、ここから出はよく見えない。
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