プロローグ

2/12
前へ
/119ページ
次へ
 僕は神様を見上げた。  神様なだけあってとても大きい。  たぶん僕の2倍くらいはある。 「神様、僕は天国行きですか?それとも地獄?」 「落ち着いてミツル君」 「間をとって中国ですかっ!?」  神様は僕の目の前にしゃがみ込む。  しゃがんでいてもまだ僕より背が高い。 「ミツル君、私は神様じゃあない。  そう思うのも無理はないけどね。  私は見ての通り『おまわりさん』なんだ」 「おまわりさん……」  言われてみれば、 紺色の制服に印付きの帽子や腕章、 腰の右側には拳銃、左側には無線機に警棒まで。  この人の格好はおまわりさんそのものだ。  そして周りを見渡してみると、 壁に指名手配や防犯の張り紙が貼ってある。 「じゃあここは交番?」 「大体そんなところさ。  それよりもミツル君。  もう分かっていると思うけど、キミは死んだ」 「……はい」 「不幸な事故だったけど、即死だったのがせめてもの救いだね。  キミは普段の行いが良い。  きっと本物の神様が情けをかけてくれたんだよ。  さて、キミは死んだのに今こうして私と会話ができている。  どうしてだか分かるかい?」 「分かりません。  でも死んだって事は、ここはあの世……ですよね?」 「んー、ちょっと違うね」 「そうなんですか……」  僕はどうしても張り紙が気になって、そっちに目が行った。 『指名手配!この顔見たら110番!』の文字の上に顔写真が並んでいる。  白塗りの顔に赤いクチビルのピエロみたいな顔もあれば、 ドロドロに溶けてヒトの形をしてない顔もあった。
/119ページ

最初のコメントを投稿しよう!

59人が本棚に入れています
本棚に追加