プロローグ

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「張り紙が気になるかい?」 「はい」 「教えてあげても良いんだけど、あまり時間が無いんだ。  自分の体が縮んでいるのは気が付いてる?」 「……え、おまわりさんが大きいんじゃ?」 「確かに私は大きい方だけど、それでも182センチ程度だよ。  さらに言うと、ミツル君は縮んだのでも若返ったのでもない。  全く別の少年に転生したんだ」 「転生? 僕が?」  僕は自分の手を見た。  なんと、子供みたいな小さいお手手になっている。   「余裕があれば多くを説明できたのだけど。  とにかく、困った時にはこれを使って」 「はい?」  おまわりさんは僕に何かを握らせた。  硬くて、手のひらサイズで、ヒモみたいなのが付いている。 「それじゃあ行っておいで。  ミツル君……いや、ヴァン君」 「ヴァン……?」  おまわりさんが優しく笑ったのを最後に、僕の意識は途切れた。 「ん……うわぁ!?」  意識が戻った途端、僕は驚きのあまりひっくり返ってしまう。  手や背中に草の感触がした。  何かの大きな影で僕の周りが暗い。  夕焼けを背景に、5メートルはありそうな巨人が目の前に立っている。  なんと僕は、その巨人の顔に見覚えがあった。 「さっきのピエロ……!?」 「ゲシシシシ……」  巨人ピエロは先端の尖った棒を右手に持ち、 輪っかになったヒモを左手でクルクルと振り回している。  巨人ピエロはニヤニヤして右足を大きく上げた。  僕を踏みつぶそうとでも言うのか。 「うわっ!」  危険を感じた僕は尻餅をついたまま後ろに下がる。 「あっ……」  巨人ピエロの踏みつけはなんとかかわせたけど、 手に握っていた物を落としてしまった。
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