プロローグ

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 捕まったら何をされるのだろう。  イヤな予感しかしない。 「うっ、うっ、うわああああ……」  子供になったからだろうか。  気が付けば、僕は泣いていた。 「ゲシシシシ」  巨人ピエロがほっぺたを指でつついてくる。  大人の倍以上ある太い指だ。 「うう、ぐすん」  もう泣く事しかできない。  誰か僕を助けてほしい。  さっき死んだばっかりなのにまた死んじゃうのはイヤだ。 「ヴァン!? ヴァン!」 「ゲシ!?」  誰かが叫んだ。  若い女の子の声だ。  おまわりさんにもヴァンって呼ばれた気がする。  この声は僕を呼んでいるのか。  巨人ピエロが僕から離れて声のした方を見る。  でも、逃げ出せない事に変わりはない。 「ヴァンから離れなさい!」 「ゲシシシ!」  女の子の声がさっきより近くなった。  気の強い、怖がっているとは思えない声色だ。  涙でよく見えないけど、助けてくれるみたいだ。  激しい足音が聞こえる。 「ゲシ!?」 「このおおおおお!」  すぐ近くで何かがぶつかる音がした。  涙を拭いてよく見てみると、 巨人ピエロが大きくよろめいているじゃないか。  それどころか、お腹を抱えてそのまま後ろに倒れてしまった。 「ゲゲ……」 「ヴァン大丈夫!? ケガは無い!?」
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