チカラ①

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チカラ①

『この世は不条理で満ち溢れている』と日課の朝の情報番組を観ながら僕は思った。 『なぜ、有名人や権力者には都合のいい規律ばかりが作られて、弱者を救う為の規律はほとんど存在しないのか』こんな事を思うのと同時に僕は自分にはこの規律を変えるだけの能力や勇気が無いことを改めて実感していた。 僕は母親が作ってくれた朝食をいつも通り、 5分以内で食べ終わり、身支度を整えていつも通りの通学路を歩いていた。 すると、後ろから週5で聞いている友人の声が聞こえてきた。 『マサトー、マサトー』と朝から騒がしい声が聞こえて来たが、僕は振り返る事もなく淡々と通学路を歩く。 足音がだんだんと近づいて来ているのを感じる。 そしてその足音が僕の真後ろで止まった瞬間背中にこの世のものとは思えない衝撃が走った。 『早く、返事をしろーーっ!』という言葉と同時に彼女のスペシャルドロップキックが僕の背中に直撃したのだ。 このサイコパス感満載の彼女は、同じ高校に通っている、橘 真実(たちばな まみ)である。 真実に蹴られた後、僕は真実と一緒に学校に向かった。 そして、いつも通り授業を受けて、いつも通りの帰宅路を歩いていた。 そんな時、いつもの帰宅路には無い明らかに不自然な店がオープンしていた事に気がついた。 どうやら、海外の雑貨店らしい。 普段なら寄り道は絶対にしないのだが、何故か引き寄せられるように僕は店内へと足を進めていた。 店内は薄暗く、色々な人形が陳列されていた。 そんな中で、ひときわ目立つ所に『正統絶対』と書かれた本が置いてあった。 僕は吸い寄せられるようにそれを手に取ると突然、本の中から半透明な手が現れ、僕を本の中へと取り込んだ。 僕が目を開けると、そこは真っ暗な空間だった。 マサト『ここは...どこなんだ?』 僕がそう呟くと、 バッ バッ バッ バッ 突然、足元に設置してあったであろう、照明が点灯し、光の道が現れた 僕は、不思議と迷う事なく、その道の上を進んだ しばらく進むと、扉の前にたどり着いた マサト『入れ...って事だよな?』 ギィッ 僕は扉を開け、部屋の中に入った 部屋の中には、机が1つと、その机の上に 天秤が1つ置かれていた 僕は天秤に近寄ると、天秤の左右の皿に何かが乗っている事に気がついた マサト『これは...何だ?』 手にとってみるとそれぞれに『正義』『悪』と書かれた紙だった マサト『正義?悪?何の事だ?』 僕は天秤を机の上に戻そうとした瞬間、 ???『汝は、何を求める?』 突然、何処からか声が聞こえてきた マサト『だ、誰だっ!』 ???『答えよ。汝は何を求める?』 マサト『何なんだ一体...何を求めるか?って いきなり言われても...』 ???『分かっているはずだ。 汝は何を求める?』 マサト『分かっているはずって...』 僕はふと今朝のテレビニュースを思い出した マサト『権力者から...弱い人を守りたい。』 僕は無意識のうちに言葉を発していた ???『よかろう。汝に力を授ける。 有意義に使うが良い。』 その瞬間、辺り一面が眩い光に覆われた マサト『ま、まって!貴方の名前をっ』 ???『我はリーブラ。 全てを平等に判別し、相応の罰を下す者。 汝の活躍に期待している。』 僕はその声を最後に気を失ってしまった 再び目が覚めると、僕は自室のベッドの上にいた マサト『まぁ、さすがに夢だよね... って、今何時なんだっ?!』 僕は時計を確認しようと、置き時計に左手を伸ばした その時、僕は時計よりも先に左手の甲にあるものに視線をうばわれた マサト『これって...』 左手の甲に天秤のタトゥーのような物が描かれていた マサト『夢じゃ...ない?』           次回          チカラ②
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