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「おっと、いけない。こんなことをうっかり口走るものだから検査に引っかかってしまうのでしょうね。では失礼。申請、通るといいですね」そう言い残し、片手で帽子を持ち上げ会釈すると、アンドロイドは席を離れ、トコトコとコミカルな歩行音を残しながら事務所の奥へと消えてゆく。サイズが少し合っていないボーラーハットの縁を小刻みに揺らしながら。
その後姿を力なく見送る男は、ロボットに気遣われるまでに落ちぶれた人間に、言葉にならない哀れみを感じていた。
ユートピアにて 了
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