第一章 アンドロイド殺人事件

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 クローンには厳しい規制が設けられているが、唯一の例外が、この肉体の更新だ。人間の寿命は百歳に定められ、更新年齢を迎えると持ち点による延命の可否が決定される。  百歳を迎えるまでに最終的な持ち点が百点に達していなければ、延命の権利を失い安楽死することになる。  人間は、保護される未成年期を過ぎ二十歳で成人を迎えると、持ち点二十点から始まる得点の積み立てがはじまる。  一般の労働者であれば一年で一点が加算され、事件などで逮捕起訴され有罪判決を受けた場合は、罪の重さに応じて点数が引かれてゆく。  殺人など重犯罪で五十点、軽犯罪なら十点から二十点が引かれ。悪質性などが加味される累計制度となっている。その刑は時に、数百年にまで及ぶこともある。  現在、善良である事が唯一、人間に課せられた義務となっている。そして、優秀な人材や社会に貢献した有益な人物には、持ち点が多く加算され、長生きできる社会システムになっているのである。
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