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アメ村吉田
ピンクに塗りたくった、気味の悪い2DKの貸しアパート。
ここの大家の顔を見てみたいわと近隣の主婦達が噂をしているような気がする。
僕はここで産まれ育った。
「お母さん、お母さん、おやつの牛ロースちょうだい!」
いつもの様にお母さんに無茶を言うと、いつもより体格の良いお母さんがあらわれた。
「今日から私がお母さんよ」
一瞬自分の目を疑った。まさか、そんなはずはない。
目を凝らしてもう一度良く見てみると、やはりそれは女装したお父さんだった。
そして、僕は家出した。
日本は性的な問題に関してソドム化している。
家出したといっても僕はもう29歳、「ええ歳」である。
無職でここ二年ほどお父さんとお母さん以外と会話してないので対人恐怖症と言語障害がある。
果たしてやっていけるだろうか。
これは自分に着せた挑戦でもある。
何処に行こう。お母さんの財布から失敬してきた1万円を握りしめ、見慣れた赤と白の近鉄電車に乗り込んだ。
大阪で最もイケてる場所。それはミナミのアメリカ村だ。僕もナウなヤングにバカウケのイケてるチャラい男になりたい。
そして、なんやかんやがあり、ミナミのアメ村にたどり着いた。
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