浪速少年院

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 荒くなった息を整えて、あの頃を思い返す。今度は視点を変えて思考を巡らせた。そうだ違うところから始めよう。  始まりは中学一年生の頃だった。学校の勉強は小学二年生の頃からしていない。中学に入ってからは真面目に生きようと思ったが、勉強のやり方がわからず授業に付いていけなかった。  挫折をした俺は早い段階で学校に教科書を持っていくのをやめて、授業をサボっていた。そこで不良の先輩と出会うことになる……… ……これも違う。 わしはどうして小学生の頃に勉強をしてなかったんや?…… そうか、 そうやった。 あれは  わしは幼少期の頃にぺルテス病を患っていた。  ぺルテス病とは股関節に起きる病気でびっこを引いたり、股の付け根が痛くなる。原因は不明とされている。  発症してすぐに病院に掛かったが、怪しい宗教団体に入っていた親が手術に反対して神様に拝むから大丈夫だと言っていた。  最初は小まめにお見舞いに来てくれていた両親も次第に足が遠のいていき、ついには来なくなった。  そんな俺を救ったのは親戚のおばさんだった。親の許可を得ずに無気力になっていた俺を暗い病室から自宅に連れて帰ってくれたのだ。     
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