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ラプレのビットによる攻撃が何重にも、覇王の忘れ形見を焼いていた。
「……ラプレももしかしたら、この剣の思念の影響を多少受けていたのかもしれないな」
小柄で童顔。本人も命令を受け、子供の世話をしているが、知らない人が見れば子供が子供の世話をしている風にしか見えない位の容姿である。
実年齢がいくつかは知らないが、魔女は最近仕えさせたみたいな事を言っていたし、そのせいで思念に引っかかったという可能性もある。
帰った時、魔女に伝えるべきだろう。
「これで大丈夫……何?」
疑問系は、地面からの結果を見て返ってきた物だ。
「……ラプレ、手を抜いたか?」
「その様な命令は受けていません」
覇王の剣は攻撃を意に返さず、そのまま地面が居場所かと主張するように刺さったのだ。
どこも欠けず、傷つかず、ありのままで。
「院長」
「俺は……駄目だ。戦いから身を引き過ぎている。お前以上の力は出せない」
こんな洞窟の奥にまで子供を引き寄せる性質。持って帰っていい結果が待っているとも思えない。再び埋めても今回と同じような事が起きる可能性だってある。
二人では、現状手段がないと判断する。
院長は助け舟を呼ぶ事にした。
「……ラプレ。魔女を……アル」
魔女を呼ぼうとラプレに告げた時である。
「はーい。どうもー。おねーさんだよー! ラプレそっちはどうー?」
場の重たい空気を読まない軽い声が洞窟内に響いた。
「……マスター。今呼ぼうとしていました」
「知ってる知ってるー。およー? その剣まずいやつじゃんかー。持って帰ってきて。私が預かってあげるよー!」
「……信じていいのか?」
「うんうん大丈夫。ってか、早く帰ってきて二人ともー! そもそも私一人でこの子達の面倒見るとか無理ゲーだって! おいこらおっぱい触るんじゃないって! はやく、はやくううううっ!」
断末魔と共に声は途絶える。
状況を壊す緩い空気。魔女はずっとこんな感じだ。おかげで院長は魔女と話すといつも疲れた顔をしていた。
顔を見合わせた後、魔女の言うとおり、二人は家路に着いたのだった。
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