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「……桃子はさ、今の会社どう?」
「何よ、あたしが先に美玲に振ったのに。……まぁいいけど。楽しいわよ?もちろん大変なことも山ほどあるけど。」
「そっか。……就活の時、苦労してたもんね。」
「本当にねー。まぁ人気職だし華やかなイメージあるし。……だって一緒に面接受けた奴が慶應、早稲田、同志社よ?アホか!って思ったわー。」
「バリバリ中堅大の私達じゃあね……。」
学歴フィルター。説明会すら参加する権利がないなんて。本当にムカついたわ。
「高学歴うじゃうじゃいたわよ。しかも話すエピソードもテンプレみたいに皆バイトリーダー!」
「絶対嘘だよね。そんなにいるわけないし。」
「まぁ、その辺は良かったかも。全く違うエピソードぶっこんだあたしに注目集まったし。」
「あはは!逆にね?」
どうしよう。切り出せない。大した話じゃないはずのに、桃子のこと見てると言えない。だってきっと、嫉妬とか自業自得で終わる話だもん。
適当な相槌を打ちながら、いつも頼んでいるシンプルないちごのショートケーキをひたすら口に運ぶ。
苦い。苦くてたまらない。このケーキも、この状況も――。
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