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『何食べた?やっぱり美玲はショートケーキ?好きだもんねー。』
……くっ、読まれてる。それ程長い年月を過ごしてきたんだなぁとしみじみする反面、いつも見透かされているようで気持ち悪いとも思う。ごめん、桃子。
私のそういう素直になれないところが駄目だって分かってる。"自分の気持ちに正直"にって、簡単に言えるけど私には無理。
『まぁね。時間があれば今度桃子も行かない?』
『行く行く!何度か行ったことあるけど、そこモンブランが絶品なんだよねー。』
『じゃあ、桃子に予定合わせるよ。桃子の方が忙しいしさ。』
『いいよ、別に。いつも合わせてくれて悪いから。たまには一日中遊ぼうよ!話したいこともあるし。』
話したいこと?なんだろう。私も相談したいことはあるけど、桃子の方から?……変なの。まさか私と同じこと考えてるんじゃあるまいし。
はぁ……。考えても見つからない底なし沼。いっそのこと全てリセットしたい。あーあ。明日なんて来なくていいのに。
揺れるメトロノームのような私の気持ちが、真っ直ぐ前を向くことなんてきっとない――。
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