目が覚めると、そこには

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なーんて言ってしまうと、キミキミよく分かったね、それこそが達成感なんだよねとか、大人は嬉しそうに語るんだろうか。 そういうの、 なんかつまんねーの。 「カンタ、ラストの30m、特に頑張ってたね」 振り向くと我が陸上部(リクブ)一年女子の奥野。 「見てたんだ」 「そりゃそうでしょ」 ポニーテールのゴムをほどいてぶるぶるんと濡れた黒髪を揺らした。 へえ、こいつ髪、長い。 「やっぱ最高のパフォーマンスを観客に見てもらいたいって思うよな」 「そんなこと言う?」 ユニフォームの奥野はクスッと笑うと器用に結び直した黒髪を揺らし、霧雨の中を駆けていった。 堀がまたまた「ラーメン?」と言い出したのを放置して、僕はぶるっとひとつ武者震いすると、水たまりを避けながらペタペタ追いかけることにした。 捕まえて…… 濡れた髪に呼ばれた気がしたからだ。 end
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