目が覚めると、そこには

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on your marks 再び静まる観客 「よーいどん」という掛け声を、「はっけよーいどん」と小二まで思い込んでいた。 set あの時みんなの前で「はっけよーい」とからかって、さんざん笑ってくれたよなっ! 堀! さあこい! BANG! ついにスタートした。 中田先輩から3位で渡ったバトンが、みるみる抜かされていく。圧倒的に速い明誠のイバンがサバンナの風を連れて真っ先に駆け抜けた。大丈夫だ、堀、ここだ! 僕にバトン、持ってこい! 堀がくる。僕もスタートを切る。最下位なのは知っている。むしろ予選通過したのが不思議。練習不足でアンダーパスがおぼつかない。だけど決勝出場メンバーとして恥ずかしくない走りを、僕は! 僕も最後のテイクオーバーゾーンに入っていく。 アンカーの藤堂先輩は加速する。 はいっ バトンを渡そうと手を伸ばす。 でも藤堂先輩の助走が異様に速く、スピードを緩める気配がない。 先輩届かないよ、ゾーン30mでバトンを渡さないと失格なんだ! 待って、もう少し、あと少し、あと少しで捕まえないと、でも届きそうで届かない、なんだ、このもどかしい既視感は! 捕まえて……     
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