プロローグ 〜明日美〜

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 朝、目が覚めると、ぼんやりとした感覚に襲われた。  さっき、わたしは何かの夢を見ていた。  その夢をわたしはなんとなくだけど忘れてはいけない、そんなもののように感じていたはずなのに、そんな想いとは裏腹に、その夢がどんな夢だったのか、もう思い出せないでいた。  ……なんだったのだろう? 本当に夢なの??  痛いっ。思い出そうとすると、脳を何かに叩かれるかのような強い衝撃を受ける。  思い出したくても思い出すことができない。そんな歯がゆさがわたしの胸を強く締め付けてきた。  ふと、目覚まし時計に表示された、今日の日付を確認する。  その日付は、『7月7日』を表示していた。 「今日は七夕かー。」  昨日の夜は雨が降っていた気がする。わたしは雨に濡れるのが嫌だったので、吹奏楽部が終わった後、そのまますぐに帰宅した。なんとなくだけど、二人の姿を見たくなかったから。  ……え、二人? 二人って、誰と誰のことだっけ?  わたしはさっきから何を考えてるのだろう。  いろいろ辻褄が合わないことだらけだ。わたし、頭がおかしくなっちゃったのかな?  そんなことより今日は七夕。天気は昨日と違ってよく晴れると、昨晩の天気予報で言っていた。  七夕。それは、織姫と彦星が1年に1度だけ会うことを許される日。2人にとっては1年で一番重要な日だ。  ……まぁわたしには関係ないか。そんな彦星みたいな人、わたしにはいるわけないんだから。わたしが所属してる吹奏楽部なんて女子ばかりだし、仮に男子がいてもものすごい競争率になっちゃうし、わたしに出逢いのチャンスなんて全然ないんだよね。  ほんと、バカみたいだね。今日のわたしは。
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