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「ところで。
ここに捨てられたモノが2つ程あるのですが。
拾いますか?そのままにしておきますか?」
彼が左手をぱっと広げると―――出てきたのは私が投げ捨てたリング。
私は手を延ばそうとしつつも逡巡してしまい、そのまま目を伏せてしまった。
「…こら。
そのままにしとく気?」
からかうような声に、私は躊躇いつつ訊ねる。
「……拾う、を選んでも、いいの?」
「むしろ選んで貰わないと困る。
これ、似合うの桐子だけって決めてるから。
で、これを今すぐ拾った方限定のおまけで粗品もプレゼント!
――如何でしょうか?」
どこぞの通販番組の真似?
粗品って……おまけにしたら随分豪華よ。
彼の右手の親指が指してるのは彼自身。
泣きだしたかったのを堪えていた筈なのに、思わずくすりと笑ってしまった。
彼はそんな私の表情を見逃す筈も無く―――甘く優しく笑う。
「いつも俺の隣で笑っててよ。
もう、二度と俺の事、捨てないで」
はい、と答えると。
彼は私の左手薬指に指輪を通すと、その指にキスを落として呟いた。
「My Lady」
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