1 Side:バイトちゃん。

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あったま、来た。 もう知らないっ! 夜勤明け、私の部屋で朝ごはんを食べ終えた一郎さん―――ううん、もう名前でなんか呼ばない。『店長』で充分だ―――に、昨年のクリスマスプレゼントで貰ったリングを投げつけて部屋から追い出す。 桜が開花した、というラジオのニュースを聞いた日、私は彼氏を捨てました………。 朝見(あさみ)桐子(とうこ)、4月には大学の4年生。 大学の入学当初からお付き合いしてた鈴木(すずき)一郎(いちろう)さんは、私のバイト先であるコンビニの店長。 どんくさい私をそこそこ長い目で見守ってくれる優しい人で。 さらりとした黒髪とスクエアの眼鏡が似合うイケメンで、実は頭も凄くいい人なだけに物凄い努力家で。 そんな彼が以前、 「うちに永久就職、しませんか?」 なんて言ったから。 私、勘違いしてたみたい。 大学の最終学年は将来を決める大事な年で。 進学希望の子もいるけど、私のいる家政科では卒業間近にある管理栄養士の国家試験合格を前提に就職活動を進める子が殆ど。 あんなセリフを聞いていなかったら、私も普通に就職活動をしていたと思うんだけど…。
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