ループ

2/3
前へ
/16ページ
次へ
そしたらね、細長い何かがアパートのてっぺんから落ちていくんだ。  でも、地面に落ちたって瞬間に消える。  そしてまた、何かがてっぺんから落ちていくんだ。  怖かったよ。震えが止まらなかった。  でもなぜか、足が勝手にそこへと向かったんだ。  ゆっくりと、アパートの階段に足をかけた。  一段一段踏みしめて上るっている。ギシギシって音がする。  上りきって、黒い影のする方へ近づいていった。  でもなぜか、そのときには恐怖が薄れていたよ。  とうとう、その場所に来たんだ。  でも、何もなかったよ。  怖いっていう思いが幻聴や幻覚を見せていたんだと思った。    家に帰ろうと思って踵を返したら、 「あっ」  足を滑らせちゃった。  やばいって思った時には遅かった。  てっぺんから真っ逆さまに落ちていくんだ。  どうしようどうしようどうしよう死ぬ死ぬ死ぬ。
/16ページ

最初のコメントを投稿しよう!

16人が本棚に入れています
本棚に追加