最後の冬は君と一緒に…

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たまに届くメッセージは決して長くない。無事であることはわかってもボクのことを想い続けている保障なんて全然なかった。 だから、ボクは戦争が終わる前に内地へと戻ってきた。 戦場では未だにボクの戦友たちが残っているけど、彼らは快くボクを送り出してくれた。 「手紙読んでくれてありがとう」 「うん、キミもボクを想い続けてくれてありがとう」 ボクらはそう会話をした後、歩き出した。向かうのは彼女と共に過ごした街だ。 そこは思い出であふれている。 戦争のせいで街に人はほとんどいなくて活気もぜんぜんなかった。 住民のみんなが暗い顔をしてただ無意味な時間を過ごしている。 中には泣いている人がいた。中にはボクと同じように戦場から帰ってきたであろう人が家族と一緒にいる光景もあった。 「そういえば、キミの将来の夢は小説家だったっけ?」 「あはは、うん…戦争が始まる前はそうだったよ」 彼女は小説が好きだった。デートするときも原作が小説の映画を見にいったり本屋巡りをしたりした。 「急にどうしたの?あの本屋ももう閉まっちゃったよ」 ボクと彼女が昔よく通っていた本屋は戦争が始まってすぐにシャッターを下ろした。 そのことは名残惜しいけど、ボクが話したかったことは別のコトだ。 「いや、キミからもらった手紙がずいぶん詩的だったからね」 「あはは…ちょっと恥ずかしい」     
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