最後の冬は君と一緒に…

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そう、戦争が終わることが決まってから彼女にもらった手紙の内容は要約すれば『会いたい』というものだったが、その表現はずいぶんと詩的だったのだ。 今もその手紙をポーチの中に忍ばせているのだが黙っていよう。 「じゃあ、行こうか」 「うん」 事前に打ち合わせしたわけではないけれど、ボクと彼女の目的地は一致していた。 ボクの故郷には小さな山がある。そこは地元では有名なビュースポットで昔はよく夜景を見るために2人で山を登ったのだ。 そう、ボクらの目的地はその山の頂上だった。思い出は儚くも懐かしい。そこはボクが彼女に告白した場所だ。 山を登りきる頃にはもう辺りは夜の色に染まっていた。 「戦争、今日の零時に終わるんだっけ?」 頂上に着いてすぐ、彼女が口を開いた。 戦争は今日終わる。それはもう決まったことだ。 「うん、今日の零時ちょうど…ボクらは武装解除する」 武装解除。それはすなわち、人類は異星人に降伏することを意味する。 故郷であるこの街は安穏としているけど、世界は既にこの故郷と周辺を残して異星人によって占領されていた。 そこには人の姿はなく、死の灰と鉄クズと塗れた廃墟となっている。 残っている敵は数十体。残っている人類はこの故郷の地に逃げ延びた数十万の非戦闘員と今もなお、人類最後の日を守るべく前線で命を散らしている数十万の戦闘員。     
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