最後の冬は君と一緒に…

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人類は既に戦争を続けるだけの余力どころかこの冬を乗り越えるだけの力はない。 数年前に始まった人類の生存を決めるこの戦争は人類の敗北によって終わるのだ。 「……ホントはもっと一緒にいたかった」 武装解除しても異星人の侵略が止まらないであろう。 でも、もう戦うだけの力がないボクらはいずれ負ける。だから、もう戦争を止めることにしたのだ。 戦いたくない兵士は内地へ戻る権利をもらい、最後まで戦う気力のある兵士は前線で最後の日を守り抜く。 「ボクもだよ…だから、早く戦争に勝ってココに帰りたかったんだ」 遠くの空を見る。遠くの空は茜色。夜の帳はもう下りきっているが、戦場はまだ明るい。 あそこではまだ戦友たちが最後のわるあがきをしている。 彼女がいなければボクは最後まで戦うつもりだった。ボクがいれば、数分…いや、数時間だって人類の時間をかせぐことができたであろう。 でも、そうやって手に入れた数時間よりも彼女といるこの時間の方がよかった。 「うん、ありがとう…」 こうして、ボクらは人類最後の日を過ごした。寄り添いあって、遠くに広がる戦場を見ながら空いてしまった数年の時間を埋めるように言葉を交わした。 手紙だけでは伝えきれないことを彼女に話した。     
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