50人が本棚に入れています
本棚に追加
セカンドライフ
きっかけは単純だった、何十年前から言われていたAIに仕事を奪われる時代。ちょうどそこにいてもいなくていい中間管理職。
「首……ですが」
「……、君だけではない。他にも大勢が居なくなる、君もその中の1人というだけだ」
反論はしたい。……が結果を出せてはいない。大きな失敗もしてなければ大きな成功もしていなかった。
「岡部君の事は評価している」
そういい、通常よりも多めの退職金を提示される。それでも年金までは持ちそうにもないし、かといってごねても結果は変わらず金額が減るだけだ。
納得はできない、できないがそれを飲むしかなかった。
「岡部君のそういう所は好きだよ。まぁそうだからこの結果になったとも言えるが」
そう、今までお世話になった上司から言われる。言われるようにやり、できるように説得し結果としてここまではこれた。これただけだった。
退職届をその場で処理し、電子書類に印を押す。
「安心したまえ、君の代わりはAIだ」
それが何の安心になるのだろうか。どうでもいいことかどのみちもう終わったことだ。
「引き継ぎなどはもう済ましてある。今月分は有給で消化しておこう」
最初のコメントを投稿しよう!