プロローグ

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「好き嫌いがあるならば、革新的な考えがあっても、それを革新的にできない。」と教授はよく口にするのからしてもそれを理解できる。しかし私は尊敬する教授が馬鹿にされているような気がして止まなかった。そうこう考えている内に、ジュールが質問を聞いたらしく、私が尊敬する教授と話していた。 「それは愚問ですよ教授。それは私達人間が作った物だからですよ。例えば1000年後の人類が我々と同じ技術、言語を使っていると思いますか?つまり過去の技術はほぼ確定的に忘れられるということです。オーパーツの存在原因もそこにあると思いますよ。」 ジュールは少し上から目線で教授にいった。私はそれが気に入らなくて、話に割り込んだ。 「しかしそれはそのように仮定した場合の話だろ?」 「まあ、そうだが…」 「シュナイダー君の考えも聞きたいなあ。」ジュールが弁解するよりも早く、教授は言った。教授なりジュールへの気遣いであろう。 「オーパーツは人間が作ったということはあきらかでしょうが、その技術が忘れられたとは思いません。なぜなら、今ある全ての技術の原点は過去に存在するからです。つまりはオーパーツを作ることが可能な技術を持った人間が過去にいなければならないのです。過去から未来という流れで考えるなら不可能でしょうが…。しかし今後そのようなことが可能になる装置が誕生するのではないでしょうか?」 「つまりシュナイダー君は今後タイムマシンができると言いたいのかね?確かにその考えなら筋は通るが…アインシュタインの否定にも繋がりかねないなあ。」 教授はにこやかに笑った。しかし私はこの笑顔が気遣いではなく哀れみのように感じた。ジュールも弁解する意味が無くなったとホッとした顔つきをしている。私は顔が熱くなった。確かにタイムパラドックスを考えるなら、タイムマシンは未来へにしか行けないはずだからである。
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