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私は聞きなれない音で目が覚めた。雷が連続して近くに落ちているような、ジェット機のエンジン音を目の前で聞いているような、そんな激しい音だった。周りの奴らはまだコールドスリープ中のようで、私だけ目が覚めてしまったらしい。 あの音は何だったのだろう… まだ私の頭によく血が昇っていないらしく、ボーッとしている。なにしろ久しぶりの起床であるので、頭はすぐに働かない。音の原因を確かめるために中央司令室に行ったのは起床から2時間後であった。 「GTおはよう。」 「おはようございます、シュナイダー様。現在の年月日は、地球時間2153年11月8日。船内時間で申しますと出発した日から計算して12年と5ヶ月と16日です。」 私はその年を聞いて驚いた。なぜなら出発したのは2050年であり、地球と交信する年である、実験終了の2100年を過ぎていたからだ。シュナイダーは少し焦りを覚えたが自分で自分に冷静でいるようにいった。 なぜこんなにも時が進んでいるんだ。なによりもまず、地球で待っている人達は我々のことを死んだとでも思っているのだろうか?当初の計算だと宇宙での1年(光速移動での)は地球での4年に値していたはずで、2100年の地球到着に合わせるために船が加速する… ここで音の原因がわかった。いや、思い
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