第二十三話

12/21
前へ
/299ページ
次へ
愕然とした。 誘拐されて監禁され、虐待され、子供まで産まされていたなんて…… 「なんでそんな監禁してるのに家の人は黙ってたの?共犯だよそれ」 巴の言葉に私はうなずいた。 「岡野は何か気に入らないとすぐに暴れてね。おまけに金もあるし町の人間は誰も逆らえない。もちろん何か問題があっても家の人が諫めようものなら殴る蹴るの暴力。岡野の父親も体を壊していたし、あの家の人は誰も岡野に逆らえなかった。言うがままになるしかなかった。でないと家族と言えどもなにをされるかわからないからね」 だからといって監禁しているのを黙っているなんて…… 私は信じられない思いだった。 同時に美奈子さんの絶望を想像した。 「地下室の様子から、服や調度品、その他のことから美奈子さんに対して岡野がかなりの……というか熱狂的な愛情を持っていたことはわかった……それが最終的にああして惨たらしい折檻の挙句に殺されたのだからみんな首を傾げたものだよ」 「岡野って人は美奈子さんのことが好きすぎて誘拐した……そういうこと?それなのに殺しちゃったの?」 巴が私に聞くと代わりに祖母がうなずいた。 「美奈子さんが逃げようとして殺されたとか、いやいや殺すつもりもなかったが勢い殺してしまい、岡野は狂ってしまって後の凶行に及んだっていろいろ噂はされたね……だけど本当に何があったのかは岡野がいなくなってしまった今となっては誰もわからないの」
/299ページ

最初のコメントを投稿しよう!

105人が本棚に入れています
本棚に追加