第二十三話

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「ただ、美奈子さんの家の土地を管理している人はそういうことはまるで信じない人でね……逆に祟りを訴える人たちを気狂い扱いしたものさ……隣の土地が悍ましい曰くがあるから、ここでも人が殺されたのは事実だからと、どうにかこうにかして祠だけは建てさせてもらったんだよ」 「庭に祠がある家とか気持ち悪がって誰も引っ越してこないんじゃないですか?」 巴の質問に祖母はにこやかに答えた。 「そこの大家がご利益のある地元の神様だなんだと適当なことを言ってね……だけど二年といつく家族はいなかった。ただ、不思議とあの家を気に入る家族は多くて結局は空き家になったりを繰り返して今でもあるんだよ」 「どうしてあの家に入ると祟られるの?というより、祟られる人とそうでない人がいるのはどうして?それとも全員が祟られるの?順番の問題なの?」 私は最も気になっていることを聞いた。 「あの祠を建ててから美奈子さんは家から出ることは稀になった。私にはそう感じられた……同時に美奈子さん、いや、美奈子さんたちにとって安息の家にもなったんだろうね。だから岡野のように黙って忍び込むような相手は許さないんだろうね。これはたぶん、あの家だけでなく美奈子さんがいる場所なんだろう。だから家族まで巻き込まれるのかもね」 「そういうわけだったのか……だから」 巴が独り言のようにつぶやいた。 もし、美奈子さん……その霊がいる場所が含まれるなら、憑依してきた者の部屋に黙って入れば、家に黙って入ったのと同じことになるのかもしれない。
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