第二十三話

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「うん。でも綾香がいなくなったと聞いてあの家にさらわれたんじゃないかって思ったの。もう無我夢中で声なんてかけずにそのまま入ったの」 祖母はそれを聞いて目を閉じたまま眉根を寄せた。 「だとしたら早晩、美奈子さんはやってくる……でも私は知らない仲じゃない……なんとか、なんとかお願いしてみるよ。もしも美奈子さんに憐憫の情があるなら私の願いを聞き届けてくれるかもしれない。今回ばかりは勘弁してもらえるかもしれない」 「もしかしてこの前の夜に誰かと話していたように聞こえたのは美奈子さんと?」 祖母は黙ってうなずく。 「あのときはまだ恐ろしい気配はなかった……まだあなたは助かると私は思って頼み込んだのに……」 「大丈夫よ。おばあちゃん。私明日には除霊するから」 「除霊?」 「伊佐山君の叔父さんが高名な霊媒師なの。その方が除霊してくださるの」 「誰それ?伊佐山君って?先生の彼氏?」 「違うわよ」 場違いな巴の質問を否定した。 しかし除霊をすると聞いた祖母の顔は晴れない。 「大丈夫かな……美奈子さんを刺激して怒らせたりしないか心配よ」 「でもこのままじゃあ、おばあちゃんだって私の巻き添えで危ないかも」 祖母はしばらく思案してから口を開いた。
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