第二十四話

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私と巴は伊佐山君が運転する車に乗っていた。 幸いにも夜の間に美奈子さんが来ることはなかった。 それがお墓参りをしたことが功を奏したのかどうかはわからない。 私と巴を送り出した祖母は、家で私たちが無事に帰るまで仏壇に祈っていると言っていた。 伊佐山君の叔父の家は町から車で30分ほどのところ、町外れの山側にあった。 純和風の大きな家で屋根に鬼瓦があった。 「凄い……霊媒師って儲かるんだね」 「そうみたいだね」 巴の感想に伊佐山君が苦笑いした。 どこか他人事のような巴のおかげで私も予想以上に恐怖に囚われていない。 まさかこの子に救われることになろうとは。
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