第二十四話

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私たちは大きな祭壇のある広い座敷に通されて和装をした伊佐山君の叔父と対面した。 伊佐山君の話しでは50代ということだったが、顔や肌の張りから見た感じがそれよりも若く見える。 ただ頭髪は真っ白なので年齢不詳というのが正直なイメージか。 「話は譲から聞きました。あなたたちの体の中から怨みの楔を感じます。特に桂木さん、あなたの中にある楔は酷い……すぐにでも始めましょう。もうそこまで来ている」 叔父の話を聞いて私と巴は顔を見合わせた。 もうそこまで来ているというのだ。 叔父は庭にあるお堂の前に私たちを案内した。 お堂の前には祭壇があり、おそらくここで除霊をするのだろう。 「この祭壇で護摩を炊き続け、焚き続けた炎や煙をもって天にいらっしゃる御仏に我らの願い、怨霊の供養にご加護を頂けるようお伝えします」 叔父はそのように説明すると私と巴を指して言った。 「携帯電話など外につながるものをこの場において、今すぐにこの中に入りなさい。私か譲が開けるまでは決して中から開けないように。外を見ることも禁じます。中には譲に用意させた食料が三日分ありますから」 「そんなにかかるのですか?」 私が質問すると叔父は目を瞑って首を振る。 「わかりません。一日で祓えるかもしれないし、それ以上かかるかも。それほど恐ろしい霊です」
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