第二十四話

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「この暑さだ。水は多めに、それから氷を用意しておいたよ」 「ありがとう」 伊佐山君に礼を言う。 「先生、早く入ろう。もうそこまで来てるんでしょ?」 「そうね」 見上げると空は青く、太陽は燦々と輝いている。 私と巴は二人に礼を言ってからお堂の中に入った。 中にはアウトドアで使うようなランタンがあり、スイッチを点けるとかなり明るい。 「では閉めるよ」 伊佐山君が言いながら扉を閉める。 扉の外で叔父がなにか唱えながらなにかを貼り付けているような音がした。 多分、お札なのだろう。 「意外と暑くないんだね」 巴が辺りを見回して言う。 「そうね。この氷のおかげかも」 部屋の隅には大きな氷の塊が四つほど置かれていた。 そのせいなのか、閉じ切っているのに外に比べてやけにひんやりしている。 他には用意してくれた非常食、そして時計が置いてある。 入り口の正面には不動明王のような仏像が置いてあった。
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