第二十四話

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「でも腐臭がしない……だからこの中には入れないっていうのは本当なんだ」 「そうね……でも外は大変なことになってなければいいけど」 「ところで、あの人が先生の彼氏?」 「こんなときになに言ってるの!?」 「いいじゃない。怖がるよりは」 言われてみればそうだ。 「残念だけど彼氏じゃないわよ」 「そう。でもあの人は先生に気があるね。じゃなきゃこんなことに首突っ込まないよ」 私はそれには笑うだけで答えなかった。 逆に巴に質問する。 「あなたはまだ死にたいの?」 「またその話し?」 「いいから。こんな恐ろしい目にあってもまだ死にたい?」 「さあ……わからない」 巴は首を振ってから話した。 「夜中に死んだらどうなるんだろうとか考えたことない?先生は」 「私は……昔あったかも」 子供のころ、いや、中学生くらいでも夜になり静かになるとふいに寂しくなる。 そんなときに考えた記憶が私にもあった。
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