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翌朝。
いつものように蝉の大合唱で私は目を覚ました。
「生きてる……」
改めて生を実感する。
昨日の悪夢のような出来事。
まるで現実のこととは思えないものだった。
結局、私も巴も美奈子さんの姿を見ることはなく祓えたことになる。
無事に帰ってきた私の顔を見て祖母も泣き崩れて喜んだ。
送ってくれた伊佐山君にも何度も何度も頭を下げて礼を言い、後日に叔父さんにお礼に伺うと言った。
その後、伊佐山君を引き留めて夕食を共にした。
伊佐山君が帰った後に、私は風呂に入りベッドに入って今に至る。
伊佐山君と言えば……
家の前で抱き合ってキスをしたことを思い出してしまう。
あのときは感情がどうしようもなく昂っていて、近所の目など気にもしなかった。
今になって顔が熱くなってくる。
「あとで連絡してみよう」
そう思うと自然と頬がゆるんでしまう。
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