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目を閉じたまま祖母の口が開く。
「せえなあ―……」
その声を聞いたときに戦慄した。
祖母の声ではない。
まるで地の底から這いあがってくるような悍ましい声が私の臓腑に響いた。
ぱっくりと開いた祖母の口の奥に私を見つめる禍々しい目が見えた瞬間、私は祖母の体を放り出そうとした。
しかし祖母の手が私の体をつかんではなさない。
「ひいっ!!」
部屋の中に吐き気を催すほどの腐臭が充満してきて部屋の外では子供のはしゃぐ声がする。
「じょ、除霊できたんじゃなかったの!?」
そんなはずはない!!
霊は祓われたはずだ!!
それなのにどうして!?
私を離さない祖母の喉の奥からうめき声がして、祖母の顔がしぼみ、裏返るように口から髪の毛が出てくる。
「ぎゃああああ――っ!!」
悲鳴を上げて祖母の体を突き放そうとするがもの凄い力でつかまれていてはなれない。
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