シキを見つめて

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 何回季節が廻ったのだろうか。  生きていく上で様々なモノを捨ててきた。  幼稚園では使っていた上履きを捨てた、  小学校ではボロボロになったランドセルを捨てた、  中学校の思い出が詰まった筆箱も、  高校の擦り切れた制服も、  大学の時初めてできた彼女とお揃いの指輪も、  新社会人になっても諦め切れなかった夢も、  恋人との関係も、  仕事での立場も、  夫婦だけの時間も、  社会人という身分も全部捨てた。  振り返れば、様々なモノをその都度捨ててきたんだ。  失ったモノは大きかったかもしれない。  後悔したこともある。  それでも、  だからこそ、  私の人生は幸せだったんだ。  私が寝る病院のベッドの周りに親族が囲んでいる。  皆一様に涙を浮かべていた。  それを見て私は微笑んだ。  これが私が捨ててきた事によって得た答えなのだ。
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