かみひとつ

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「湯沢くん、本当なの?」 と、おばちゃんが声をかけたりしているけれど、私は湯沢さんが片付けるのをただただ見つめることしかできなかった。 「ええ。少し前から考えていたことですし……」  そう言って、湯沢さんは近づいて来て 「急なことで、ご迷惑をおかけしますが……お世話になりました」  と、またもや爽やかな顔を向けて私たち二人に挨拶をしてくれた。 「あと、三島(みしま)、これ焼却頼める?」 「あ、はい」  工場内部に焼却炉があって、社内でも私のように焼却の資格を持つものしか焼却炉を使えない。例え、紙一枚(・・・)でさえも。現場の人間でもできるのは数名だ。私は湯沢さんから、ゴミの入った紙袋を渡された。
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