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プロローグ
俺の名前は三日月昨夜。ごく普通のどこにでもいる高校生・・・・・・ではなくなってしまった。ちなみに普通の定義はというとよく分からない。そもそも俺が普通なのかも分からない。
ではもしも普通で無かったらどうなるのだろう?いや、どうもならない。もしも本当に普通だったのならどうなるだろう?いや、どうでもいい。つまり俺が普通なのか普通ではないのかなど、たいした問題ではなかったのだ。
では先ほどの会話を思い返してみよう。
「貴方、誰なのよ!」
「え?…三日月昨夜です」
「そう?私はそんな名前知らないわね!」
この女は普通なのだろうか?いや、絶対にそんなことはない。俺のクラスにいつもパンの上にチョークを載せて食う奴がいたが、そいつよりもこいつは普通じゃない気がする。
「ごめんちょっと何言ってるか分かんない」
「だから!貴方を異世界に転移させるの!分かったわね?」
何が順接だったのか分からん…しかもこの現代社会で異世界に飛ばす…?意味不明だな。さては新手の誘拐だな?
ふっ、俺は何度も誘拐にされそうになる夢を見た男だぞ?この程度を見破るなど造作も無いことよ。
そう確信した俺は逃げ出そうとした。しかしもう遅かった。
既に目の前が見たことも無い大草原になっていた・・・。
「ふっふっふ。驚いたでしょう?ここが異世界[ラギア]よ!」
「……」
「どうやら驚いて声も出ないようね!」
まてまてまてまて。異世界?[ラギア]?この女は何を言っている。そうか、頭がおかしいのか。よし、俺の予想は当たっていたな。ならば許してやろう。
「いきなりで悪いがお前はこれから魔王を倒してもらおう。何、心配いらん君は多分物凄く強い。多分」
「いきなりすぎるだろっ!魔王ってなんだよ!何で多分って二回も言うんだよ!何でそんなにキャラ変わったんだよおおおおおおおおおお!」
「何?そんなこともしらんとは。まあよい。貴様が魔王を倒して私の機嫌が良ければ元の世界に戻してやるから、安心したまえ!ではさらばだ。健闘を祈ろう。あ、ちなみに私は有難い女神である」
「1つくらい質問に...」
昨夜が口を開く頃には既に消えていた。何だあの女、絶対バカだわ。
しかも自分のこと女神とか言っちゃってたよ。イタい子だね。
多分生まれつきあんな感じだと思うよ、可哀想に。
…といったことがあったのだ。さあ、俺はどうしたらいい?
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