あやまちめぐり

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あやまちめぐり

   麻友にとっては大したことではない。ほんのちょっとした遊びのつもりだった。宏美があまりにものぼせあがって茂樹のことを話すものだから、それが癇に障るほど羨ましかったのだ。やばいかな、とは思ったけど、別に奪うつもりもなかったし、何しろ男子と接することは初めての経験だったから、好奇心がまさってしまった。未知の世界に踏み込む誘惑に勝てなかった。だが、まず、茂樹がこれほど自分に夢中になるとも思わなかったし、というか、そのときは満更、嫌な気持ちはしなかったけれど、ただ、こんな結末を知っていたならば、手を出す気持ちなど毛頭起きなかったのに…。
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