3人が本棚に入れています
本棚に追加
/56ページ
赤
青い小石が並んだ中の1つに一回り大きな赤い石。
その中にアゲハに似た綺麗な蝶の模様が描かれていた。
母から、大学の独り暮らしのお守りにともらったその日から私は、そのブレスレットに心底惚れていた。
濡らしても大丈夫と聞いたから肌見離さず持っていた。
寝るときだけはその赤い宝石にキスをしてベッドの傍のテーブルに置くのが習慣だった。
キスをすると何故か安心するから。
誰かに見守られている気がするから。
けど、そのブレスレットは、
もう、私の手にはない。
最初のコメントを投稿しよう!