三崎君と佐久良くん

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三崎君と佐久良くん

ああ、また、今日も始まった。 「よお、三崎、今日も恐ろしいほどごつい顔してんな。」 「手前はまともに朝の挨拶くらい出来ねえのかよ!? ……そう言う佐久良ちゃんこそ今日もいかつい顔ですこと。」 お互いが苛立ったように同時に足元に蹴りを入れる。 そのタイミングが丁度同時だったようで蹴りだした足と足が鈍い音を立ててぶつかった。 今度も同時に二人で舌打ちをする。 仲が悪い二人がこうやって言い合っているのはもはや日常茶飯事だ。 クラスメイトである三崎君と佐久良君が顔を合わせる度に喧嘩腰になったのは、出会ってすぐ、入学式後のクラスでの自己紹介の時の事だった。 ◆ 「佐久良 良平(さくら りょうへい)です。」 佐久良君が自己紹介をした。 イケメンがいる、きっとああいう人は非童貞なんだろクソ等と僕が心の中で八つ当たりをしていると後ろの方から、誰かが笑う声が聞こえた。 「ぶふー、く、くくっ。さくら、その顔でさくらちゃんとかって、あ、あり得ない。あはははは。」 振り向くとそこには佐久良君に負けず劣らずのイケメンがいた。 こちらは佐久良君と違って、男らしいワイルド系という感じの顔立ちだった。     
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