三崎君と佐久良くん

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ツボに入ってしまったらしいその人がクスクスと笑っていると、苛立った様子の佐久良君が口を開いた。 「黙れよ、クソが。そんなに阿呆のように笑うってことは、あんたはさぞかし素敵なお名前って事だよな。」 「は?俺か?俺は三崎 和真(みさき かずま)だ。」 「手前こそ、ミサキちゃんじゃねーか。なに人の名前で笑ってんだよ、あ゛あ゛!!」 確かにその通り、なんて僕が思っていると、さっきまで笑っていた三崎君がガタリと椅子から立ち上がった。 「何言ってんだよ、お前。ふざけんのか?」 「誰がいつふざけたよ。ふざけてんのは手前の方だろ。」 三崎君が、佐久良君の方に歩いていって胸倉を掴む。 どうやら、ミサキちゃんと呼ばれる事が彼の逆鱗に触れてしまったようだ。 なら、何故、佐久良君のことあんなに笑ったんだよ。 僕の中で三崎君は少しおかしい人というカテゴライズがされた。 「ちょ、教室でけ、けんかはやめなさい。」 気の弱そうな担任がオロオロと止めに入る。 二人は同時に舌打ちをして、同時に真似してんじゃねーよと言い合っていた。 ◆ それから半年、相変わらず二人はバカみたいな事で言い合ったり喧嘩をしていたりしている。 お互い以外の人間に対しては、社交的で普通に接しているのもありクラスではああ、またやっている程度の扱いになっている。     
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